- 7つの習慣®研修
株式会社KSK
本社所在地 | 東京都稲城市 |
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設立 | 1974年 |
従業員数 | 1633名 |
業種 | 情報処理、ソフトウェア/インターネット関連 |
事業内容 | ■システムコア事業 ■ITソリューション事業 ■ネットワークサービス事業 |
HP | http://www.ksk.co.jp |
JAIC版『7つの習慣®』研修は、普通の研修と違い「年齢の高い者」が変化する
(佐藤)
本日は、お忙しいところありがとうございます。河村社長は大変、教育熱心な方で、「7つの習慣®」 の研修でも大きな効果を出されていると伺っております。
本日は、いろいろなお話を頂戴できればと思 っておりますので、よろしくお願いします。
(河村社長)
こちらこそよろしくお願いします。
(佐藤)
河村社長は、約15年前にKSKに入社されたとお伺いしています。その頃のKSKは、どのような会 社だったのですか?
(河村社長)
はい、私は1998年に前職の金融機関からKSKに移り、2001年に社長になりました。ですので、 もう12年社長をやっていることになります。
社長就任当初、すでに上場はしていましたが、社員は 800人ぐらいでしたね。今は1600人ぐらいです。
当時は、規模は小さくなかったものの、まだまだ「ベンチャー企業」という雰囲気でした。社内のいろ いろなインフラも整ってないし、教育体系なども不十分な状態。
多くの社員が自己流で業務を進めてい て、意識も「成果を上げてりゃいいんでしょ?」といった感じでした。そうした状態を見て、「これで よく上場できたな」と思ったこともありました。
一方で、その頃のKSKは事業意欲が非常に強く、儲かりそうなことには何でも手をつけるような会社 でした。しかし目の付け所が良くても、インフラが足りない、社員の能力が足りないなどの理由で失敗 していました。良いアイデアも人が揃わなければ実現できません。
結局、トータルの遂行能力が足りな かったんです。 だから私が社長に就任した当初は、そうした事業の整理から始まりました。最初の4~5年ぐらいは整 理が中心でしたね。
(佐藤)
組織の実力が、事業アイデアに追いついていなかったんですね。 それで人材育成の必要性を感じ始めたのですか?
(河村社長)
はい。当時、30代前半から半ばの人間が部長や本部長を務めていて、 彼らは自分の能力を過信している面がありました。世間一般的にはそ んなに力があるわけでもないのに、勘違いしちゃうんですね。
それで、 「これではダメだ。もっと基本的な考え方をしっかり身につけなくて は、この先、戦っていけない」と思い、教育の必要性を感じたのです。 それから、何年にもわたりさまざまな教育や研修を取り入れて、現在 にいたっています。
(佐藤)
河村社長が非常に教育熱心で、これまでも多くの研修を実施されているのは存じております。 「7つの習慣®」については、どのあたりが良いと思われたのですか?
(河村社長)
「7つの習慣®」の本は比較的早い時期に読んでいて、良い考え方だと思っていました。でもその頃は、 全社に導入するのはまだ難しいと思っていて、一部の管理職に本を薦めるぐらいでしたね。
その後「も う一度読み直してみようか」と思っていた頃に、ちょうどジェイックから案内が来て、全社でやってみ ようかと思ったんです。
(佐藤)
「7つの習慣®」を全社に導入されるにあたり、何かハードルなどはありましたか?
(河村社長)
それはありませんでした。その頃はすでに多くの研修などを経て“地ならし”が済んでおり、受け入れる 社員も多いだろうと思えたので。あとは、お金と時間が必要ですが、それはこちらが決めればいい話で すから。
(佐藤)
今、“地ならしが済んでいた”とおっしゃいましたが、中小企業には、「研修などはそもそもやったことがない」という会社も少なくありません。
河村社長も、先ほど「当初は教育体系などが不十分だった」とおっしゃっていましたが、こうした状態からどのようにして「社員が教育研修を受け入れる状態」を作っていかれたのですか?
(河村社長)
…それはもう、最初は大変でしたよ。多くのお金と時間とエネルギーを費しましたね 私が社長に就いた 頃は、教育らしい教育を行っていませんでしたから、社員も研修やセミナーに慣れていません。 だから私が意識してオモテに出て、社員とのコミュニケーションを図りました。
前面に立って、教育に 力を入れることをアピールしたんです。真剣さを訴えて、社員に「こうしなきゃいけない」と思わせる 努力をしました。 社員の中には「研修なんて面倒」と反発する者もいましたが、そんな時は、反発を抑えるために上司を 巻き込みました。
これは今でもやっているのですが、部下の研修に、上司にも一緒に出てもらうのです。 ある意味授業参観みたいな感じですね。それで、研修後の懇親会なんかで、上司と部下でその日の研修 について話してもらう。
すると部下のほうは、研修で学んだことが身に付きやすいし、上司のほうもマ ネジメントの勉強になる。お互いの本音が聞けて関係も良くなります。こうしたことを何年も続けてい るうちに、社員が研修に前向きに参加するようになり、今のような状態になってきたのだと思います。
…社員の研修への参加は、私自身、今でもよくやっていますよ。土曜日のセミナーの時は休日返上にな りますが、大事なことだと思っているので、苦になりません。
(佐藤)
部下の研修に上司も参加するということは、2人分の時間を使うということですよね。河村社長ご自身 も、すごくオブザーブされているし、河村社長がいかに教育を重視されているか、よくわかります。
(河村社長)
教育には本当に力を入れていますよ。
(佐藤)
ところで、「7つの習慣®」を導入されて、何か変化した点などはありますか?
(河村社長)
弊社の場合、どちらかというと家庭とか私生活に変化があった人が多い気がします。ある50代のマネ ージャーは、7つの習慣®を学んでから奥さんのメールに返信するようになって、ラブラブになってい るという話です(笑)。
その彼に限らず、7つの習慣®の内容は、家庭をもっていたり、仕事でも経験 を積んでいる人のほうが変化が表れやすいのではないでしょうか。つらい体験をしていたり、修羅場を くぐっている人のほうが気づきが大きいように思います。
また、一部の社員は、「7つの習慣® 新聞」というのを作り始めました。ちょっと柔らかい内容ですが、 私が指示したわけではなく社員が自発的に始めたようです。社員の会話でも、7つの習慣®で出てくる 「Win-Win」や「刃を研ぐ®」などの言葉が使われるようになってきましたし、良い変化が表れている と思います。
(佐藤)
7つの習慣®を学んで夫婦仲が良くなった例は、私も聞いたことがあります(笑) 「7つの習慣®新聞」というのは初めてお伺いしましたが、面白い取り組みですね。
(河村社長)
仕事面での効果でいいますと、これは今までの教育が実ってのことか と思いますが、3.11の震災のときに、弊社の社員はとても良い対応 をしたと多くのお客様から褒められました。
弊社では、技術者が、他社の技術者と一緒にお客様のシステムを扱っ ているのですが、震災の時、このシステムが止まってしまいました。 その時、他社の技術者は「震災だから」と去っていった中で、KSK の社員だけが、震災の翌日の朝8時に、システムの復旧や維持のため に自転車や徒歩で駆け付けたというんです。
この話を聞いた時は、「 教育の成果があったな」と嬉しくなりました。
IT業界には「自分のことを先に考える」企業が少なくないのですが、我々KSKはそうではなかっ た。
むしろKSKだけが、すぐに来てくれた。私はずっと 「人間力教育」という言葉を使ってきまし たが、この一件は、まさに仕事に対する姿勢だったり、根本的な人間性のようなものが表れた出来 事だったと思います。
(佐藤)
素晴らしいお話ですね。そういうことがあると、「教育してきて良かった」と、心底思えますよね。
(河村社長)
最初に申し上げましたが、昔のKSKは「何をやったら儲かるか」「どういう商売をすればいいか」 と、そればかりに目が行ってました。
でも、ある時、それは間違いであることに気付いたんです。 もちろん事業の内容も大事ですが、その前に、まず組織の能力を高めなければいけない。組織改革、 人材育成という話ですね。それがしっかりしていないと企業は成長できない。「いい商売見つけた」 だけでは長続きはしませんから。
逆にいうと、人と組織がしっかりしていれば、どんな商売をして いても負けることはない。そんな考えに変わってきて、教育に力を入れるようになりました。当時、 私は「現場力」と呼んでいたのですが、現場力を高めるための人材育成ですね。教育投資の金額も、 言ったら怒られそうなぐらい使ってきましたが、それぐらい重要だと考えています。
(佐藤)
今後、7つの習慣®をさらに社員に浸透させるために、考えていらっしゃることなどはありますか?
(河村社長)
これまでさまざまな人間力教育をしてきましたが、7つの 習慣®は、その集大成として位置付けています。いろいろ な学びの中の、「太い幹」となるようなものですね。
これ をしっかりと導入して、他の学びと体系づけていく。 社員への浸透については、やはり上から変えなければ組織 は変わりませんから、私が仕組みを考えたり、管理職への 勉強会を行ったりして、全社員に広めていきたいと思って います。
…教育の効果って、今日やって明日売上げが上がるわけじゃないですからね。スキルなら集中的なト レーニングで上がりますが、考え方や人間力は、そうはいかない。
ですから、効果を信じてやってみ るしかないですよね。覚悟することです。これからも、そうした姿勢で社員教育に取り組んでいきた いと思っています。
(佐藤)
これからも、ぜひよろしくお願いします。今日はお忙しい中、お話を聞かせていただきましてありが とうございました。