- 「人を動かす」デール・カーネギー研修
ビッグ測量設計株式会社
本社所在地 | 東京都台東区東上野1丁目26番8号 |
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設立 | 1980年10月29日 |
従業員数 | 163名 (2024年3月現在) |
業種 | 測量業 |
事業内容 | 測量(公共・工事・調査)設計(各種設計・CG)施工管理(出来形・品質・工程)企画(提案・営業支援)システム開発(社内・社外・パッケージ) |
HP | https://www.bigsdc.co.jp/ |
研修後、明らかに社内での会話が増えたと聞いており、こうしたコミュニケーションの成果は社内アンケートのスコアにも反映されています。当社では毎月社内アンケートをしており、項目の一つに「上司との人間関係」を問うものがありますが、そのスコアが改善しました。
会社の課題を研修で解決していく
デール・カーネギーの「人を動かす」リーダーシップ&コミュニケーションコースに参加した経緯を教えてください。
村田様
きっかけは、ジェイックが主催していたサイバーエージェント常務執行役員CHOである曽山様の講演会への参加でした。当社は測量会社ですが、私は測量以外の事業も展開し、多角化することにも関心を持っています。サイバーエージェントは多角化戦略がうまくいっている印象があり、仕組みを知りたいと思い、講演会に参加しました。
曽山様とはセミナー後の懇親会などを通して、親交を深めることができました。そうした経緯で、ジェイックには感謝していますし、組織の課題に関して相談する中で、今回のデール・カーネギー研修導入につながりました。
どのような課題があって研修導入となりましたか?
村田様
当社では、社員1人ひとりが、売上・利益をいかに出すかということに注力し、その実現のために尽力しています。
ただ、「売上の最大化」と言っても、一般的なイメージとは異なり、我々の仕事は優秀な人材が多くいることが売上向上のキーとなるので、「離職の防止」、そのための「上司‐部下の人間関係」が売上最大化の肝になります。どういうことかというと、測量の仕事では、優秀な人材がいると、たとえば、通常であれば1人3万円の仕事であっても、「この人なら4万円払っても来てほしい」と指名されることがあるからです。
こうした付加価値のある人材、技術力のある優秀な人材を育成し、1人当たりの売上を増やしていくことが、測量の事業で言う「売上の最大化」になります。1人のハイパフォーマーが爆発的な成果を上げて売り上げを積み上げていけるような営業会社とは異なり、付加価値のある人材がどれだけ在籍してくれているか、働き続けてさらに付加価値を高めていってくれるかが重要です。
そんな構造がある中で、私は、自社の離職率が高すぎると感じていました。当社のような技術の会社では、一人前になるのに5~10年かかります。にも拘わらず、毎年、一定の割合の人が離職してしまうのは大きな経営課題です。人材の定着が非常に重要だからこそ、売上を上げるためにも、離職防止が第一だと考えました。
原因を考えてみると、上層部の「きちんとマネジメントする」という文化が弱いことが高い離職率の背景でした。技術系の会社・職種にはありがちかもしれませんが、「背中を見て育て」という文化が根強かったのです。自分たちも、先輩の背中を見て仕事を覚えたという人たちがマネージャーをしているため、人を教えるのがどうしても苦手な傾向にありました。
しかし「自分で覚えろ」といった育成方法は、今の人たちには合いません。 これらの課題を解決するにあたり、ジェイックで提供している、デール・カーネギーの「人を動かす」研修に可能性を感じました。これまで褒める文化がなかった当社ですが、この研修であれば社員が互いに承認しあい、人を導く管理職を育てられるのではないかと感じたのです。
研修での学びの定着のために
研修導入時におけるメンバーの様子について教えてください。
村田様
今まで、外部研修をしてこなかったため、最初は「何をやるのだろう?」というような雰囲気でした。反応も鈍く、研修2日目まではどう取り組んでよいか迷っている社員もいたようです。
研修に参加したのは課長以上のマネージャー22人です。慣れない研修のため初日はすぐにとり組める人とそうでない人に分かれたように見え、2日目の発表内容を聞くと、その差は明確になっていきました。
ただ、研修全体の効果を実感し始めたのは、「インナービュー*」に取り組んでからです。研修後の宿題として、各現場でお互いの「インナービュー」を深堀りしあったり、会議で実施したりした人もいました。個人が自分の目標やモチベーションなどを、開示しあえるようになったのは大きな成果です。
*インナービューとは…相手の価値観を理解するコミュニケーション手法のこと
私は、参加したマネージャーたちには事前にメールなどで、「この研修は人を動かす技術を学び、それを部下指導に活かしていくことを目的とするものだ」と説明していました。さらに必要に応じて個別で研修参加の目的について説明し、理解を深めてもらいました。
事前に研修対象者と丁寧にやりとりすることで、地道に幹部全員に研修の意義を理解してもらいました。書籍『人を動かす』で述べられていることでもありますが、「一人ひとりに目を向ける」という原則は、まさに真理だと実感しました。
研修でどのような変化を感じましたか?
村田様
研修後、明らかに社内での会話が増えたと聞いており、こうしたコミュニケーション増加の成果は、社内アンケートのスコアにも反映されています。当社では毎月社内アンケートをしていて、項目の一つに「上司との人間関係」を問うものがありますが、そのスコアが改善しました。
学びの定着に向けては、私が主導して、研修で学んだことを参加者に月1回のペースでリマインドとして送っています。例えば、メンバーを褒める(具体的な施策なども示唆)や、チームの目的・理想のゴールなどのテーマでメールするといった具合です。
どんなことでも定着させるのは容易ではなく、人は学んだことを忘れてしまいがちです。当社は先述した通り、まずは売上を重視しており、売上の最大化のために1年間動いています。以前、売上を重視して動くことを定着させるため、売上をテーマにしたメールを準幹部以上に送り続けていたら、1年経つと、自発的に売上目標の設定をするようになりました。これに倣って、カーネギーの研修内容も1年間は送り続けていきたいと思います。
さらに幹部会議で、部下を褒められているか、インナービューをできているかなど、テーマを明確にし、成果を報告するシステムを作りました。会議で報告するためには職場で実践しなければなりません。そして、経営会議で挙がってきた事例は社内で共有しています。
ここでも、カーネギーの研修で学んだ「行動させるために発信し続ける」「やらざるを得ない環境をつくる」ことをベースに、見える化やリマインドを繰り返し、行動定着を促しています。
やりがい、働きがいを数値化する
学んだことを組織開発にどう生かしていきたいですか?
村田様
まだまだ理想には程遠いのですが、私は当社を「日本一働きたい測量会社にする」という目標があり、そのためのマイルストーンとして、「豊かな人間関係」「やりがいの創出」「将来が見通せる働きやすさ」「十分な報酬」を掲げています。
ただ、目標を数値で設定しきれていないところがあり、この4つをクリアするためにどう数値化すればよいのか、悩んでいます。例えば報酬についてなら、平均年収などを指標にして、生産性を高めるといった方針などが掲げられます。しかし更なる「やりがい」や「将来を見通せる働きやすさ」などについて、何をどう数値化していけばいいか難しいところです。
現状、個人により感じ方が違う定性的な部分については、まずは上司との人間関係を最重要事項にしています。当社にとって上司との人間関係が良好であるということは非常に重要であり、良好な人間関係構築のために、カーネギー研修の力を借りています。
さらに1年前から、マネージャーによる「評価の納得感」をいかに上げるかもテーマになっています。全員が納得することを重要目標とし、6段階で全員が納得度4以上になることを目指しています。
例えば、上司が信頼されていない場合、その人に評価されても反発が起こりやすいですよね。逆に信頼されている上司であれば、低い評価であっても「見てもらえている」「気にしてもらえている」と感じられ、納得できるでしょう。
人は正しく評価されないと頑張れません。正しく評価されてそれが報酬として返ってくるような、頑張れる仕組みづくりのためにも、「評価の納得感の醸成」という観点でカーネギー研修が大切になってきます。
後継者として社長に就任され、経営方針を変えていくことは大変ではないですか?
村田様
社員にはそれぞれ意見があると思いますので、先の通り、特に幹部社員たちとは1対1で向き合ってカバーしてきました。幸い周囲から、私は喋りやすいタイプだと思われているようなので、会社の施策等で理解できないことがあれば、誰でも発言や意見できる土壌はあると思います。
社長に就任してまだ日が浅い私ですが、それ以前に7年間人事責任者を務めていたので、全社員とある程度のコミュニケーションを取れていたことも功を奏したと思います。
互いに信頼感をもった状態で社長に就任したため、先代からスタイルが変わっても話が通ったのかもしれません。
これからも、基本的な考え方は変わりません。売上・利益を上げ、業界で一歩リードし続けるためには「優秀な人材」が重要で、優秀な人材に働き続けてもらうためにカーネギー研修があります。この順序がぶれないことが肝要です。
当社で働くメリットがなければ、人はいなくなります。今までかけたコストも意味がなくなってしまうでしょう。その具体的取り組みの一つが今回のマネージャー研修でした。今後もデール・カーネギーの「人を動かす」の考え方を会社に浸透させていきたいと思います。