十条ケミカル株式会社_取材写真2
十条ケミカル株式会社
ご受講者:(左から)岸本 紘枝様(インタビューイー)、小林 亮様・森 敦俊様
次世代リーダー向け研修
本社所在地
東京都北区赤羽西6-10-22
設立
1957年11月5日
従業員数
192名
業種
化学製品製造メーカー
事業内容
スクリーン印刷用インキ、パッド印刷用インキ、特殊コーティング剤等の製造・販売
スクリーン印刷用資材・機材の販売

導入の成果

現在も管理職として「いかに伝わるように伝えるか」を心掛けて人と接しています。目標を達成するには、乗り越えなければならない試練が必ずあると思っています。

チームで課題を乗り越えていくためには、同じ目標に向かい目的が伝わっていること、意思疎通ができていることが重要だと思います。「伝え方」を意識することで結果も変わる。認識の違いを防ぎ、信頼関係を築いてチームワークを活かし、苦しい時でも相手を理解し支え合いながら仕事ができる環境にしたい。リーダーカレッジのコンテンツの1つである『「7つの習慣®」』で学んだことです。

職場では、メンバー個々が思ったことや、従来とは違う意見も出しやすい空気を作れるように心がけています。自分と異なる意見で反発されると、なかなか本心を伝えることができなくなります。何が違うと思っているのかを言える環境を、聞ける環境をつくり、コミュニケーションをより深めていく姿勢を持つようにしています。

初開催のリーダーカレッジを受講

リーダーカレッジ参加当時について教えてください。

岸本様:

私が参加したのは2015年のことで、リーダーカレッジの第1回目の開催でした。当時、安定した組織編成のために管理職育成が急務であると、小林、森、私の3名の課長職で受講しました。リーダーカレッジを受講するまで、私はあまり外部セミナーに参加した経験がありませんでした。まして1年間継続して学ぶプログラムを受講することは想像を超える体験でした。

当時は、課長としての第一歩を踏み出そうとしていたものの、管理職のノウハウは自分自身で学ぶしかなく「管理職はこうあるべきだ」という漠然とした目標を掲げていました。

そんな折、初回の講義で、「リーダー=周囲を引っ張り、結果を出し続ける人」と1ページ目に大きく書かれており、結果を出す人ではなく「続ける人」というキーワードにハッとしました。そして挨拶の基本は語先後礼であること。「よろしくおねがいします」と相手の目をみて伝えた後に、お辞儀をする。発表は「なりたいです」ではなく「なります」という表現にすること。これからの挑戦に向けて気持ちが引き締まりました。

他社の受講者も大勢おり、その中で自分が共に学ぶという環境も刺激的でした。社内では立場上、主に「教える側」になっており、自分が教わる、学ぶ機会が少なくなっていた中で、リーダーカレッジでは生徒になり「教えてもらい学ぶ」というのが新鮮でとても楽しかったことを覚えています。

講師の東宮先生の指導は、とてもわかりやすく、いつも笑顔でスッと内容が入ってきました。その時、「伝わる伝え方、話し方」が大切だと気づきました。

受講して会社の評価はいかがでしたか?

岸本様:

当時の当社の役職には主任、課長、部長とあり、主任はグループリーダー、課長以上が管理職となります。主任から課長へ昇進し、管理職になると経営側の立場にもなり、管理職の役割は、組織の目標を達成するために多岐にわたる責任を担います。責任に対する自覚や、求められる役割に必要な能力や心得などが求められます。

さらに当社は、コミュニケーション力を重要視しており、仕事の能力のみではなくコミュニケーション力を備えリーダーとして組織をまとめて動かす力を必要な能力としています。管理職に求められる能力を自覚し、自分自身が成長する機会として与えられた機会に対し、実際の業務の中で、実践している姿を見てくれており評価をしてくれました。

上司との面談の機会も増え、宿題の中にある課題を一緒に考えアドバイスしてくださり、行動する事に自信を持ってチャレンジできる環境を作ってくれました。

岸本様はリーダーカレッジを受講して、どのような変化がありましたか?

岸本様:

私は当時、営業事務として従事しており、社内には女性リーダーがいませんでした。リーダーとして任された当初、個々で仕事をしていたスタンスからチームで動くことを求められた時、どのようにメンバーとコミュニケーションを取り、チームをまとめるかについてすぐには定められず、最初は「楽しく仕事をしてほしい」「困らせたくない」といった円満なコミュニケーションばかりを取っていました。「自分が守らなければ」という考えに固執し、メンバーに不満を言われたくない一心でそのようなコミュニケーションを取っていたのです。

しかし、リーダーカレッジで学んだことで、今までの行動が自己満足であり、間違っていたことに気づきました。確かに、叱ったり注意したりすることは気を遣いますし、気持ちの良いものではありません。しかし、指摘することは必ずしもネガティブなことではなく、相手の成長を願うからこそ伝えるのであり、仕事の前進につながるために必要なことだと気づいたのです。

重要なのは単に「伝えた」ではなく、「伝わったかどうか」相手の考えも理解することです。自分の話すことが相手にいかに伝わったかを考えられるようになったことは、リーダーカレッジ受講による大きな変化の一つです。言葉で交わすことで信頼関係を築き、信頼残高を増やすこと。それもリーダーカレッジのコンテンツの一つである「7つの習慣®」で学びました。

また、メンバーが思ったことや従来とは違う意見も出しやすい空気を作るようにも心がけています。人と違う意見を言いづらいと思うのではなく、伝えることができる環境を作りたいと考えています。なぜそう思ったのか理由を聞き、コミュニケーションをより深める姿勢を持つようにしています。

研修ではどんな学びがあり、現場で実践しましたか?

岸本様:

研修では大きく2つの学びがありました。1つ目は「トップダウンよりも共創が大事」ということです。リーダーカレッジではグループで共に考える時間が多くありました。受講後はミーティングなどで、私が先に提案するのではなく、方向性と目的を伝えたのち「どのようにしたらもっと良くなるか?」「お客様が求めているものは何か?」など、メンバーの意見を聞いて、共に考えることを意識するようにしました。

行動としては、まず朝礼の時間を大切にしました。事業所の全体朝礼のあとに、短時間のチームミーティングを毎日行うことにしました。朝にテンションが低いと1日そのまま低くなりがちなので、元気づけの意味もあります。

チーム朝礼では、「前日の業務で気づいたことと問題が起きそうなことを話す」というテーマを設定しました。1人で不安を抱えたまま仕事をせず、チームで解決し、ミスを未然に防ぐことが目的です。また、1人ずつ報告することでそれぞれの業務状況が分かり、「私、手が空いたから手伝うよ」と声をかけ合う姿も見られるようになり、負担が偏らず助け合うことができるようになりました。自分の意見が尊重されることで、自信を持って仕事に取り組むことができるようにもなりました。

部署内の問題だけでなく、営業や製造など他部署との連携を通じて会社全体の改善にも繋がります。もちろん毎日問題ばかり起きるわけではないので、「達成できたことを発表する」「これは良かったと思うこと」などを伝えるなど、率先して話題をつくってくれるようになりました。「私」が「私達」となり、前向きに仕事に取り組む姿勢になりました。

朝礼は、現在も毎日続けています。たまに脱線した話で盛り上がることもありますが、周りの部署も寛容に見てくれ、「いつも元気だね」と言ってくれることはありがたいです。

2つ目は、「短所は長所に代わらない」ということです。人にはそれぞれ強みがあり、人の良いところを見つけて伸ばす方が良いと教わりました。この学びのおかげで、自分もより自分らしく振る舞えるようになり、メンバーの強みを生かすことを意識できるようになりました。私自身もまだまだ気づかされることや足りないところが多くあります。メンバーから教えられることもたくさんあり、周囲と信頼関係を築きながら学び続ける毎日です。

1年間の長期研修で学べることとは

1年間という長期の研修に、どのような印象をもちましたか?

岸本様:

改めて「継続することに意味がある」と気づきました。リーダーカレッジの受講では、教える側から教わる側になるという新鮮な経験をしました。リーダーカレッジに限らず、何をするにしても「最初は楽しい」と感じるものです。しかし、継続していくと、マンネリに感じる期間や悪い意味での“慣れ”の時期が訪れます。その時こそが大切だと感じました。

マンネリや悪い意味での“慣れ”の時期に入ったときに、「このままで大丈夫?」と気づけるかどうかが重要です。問題もなく順調な状態からの改善は、問題が起きたときよりも難しいです。そして、より良い状態を長く続けるための新たなチャレンジには困難がつきもの。困難な時こそ人から力をもらう。コミュニケーションが大切でそのベースは信頼関係です。普段からの信頼関係づくりが鍵となります。一緒に継続してきたからこそ気づく視点が必ずあります。リーダーカレッジでも1年間を通して継続したからこそ、他社で働くクラスの皆さんと達成感を共有できたと思っています。

研修の感想を教えてください。

岸本様:

当初1年間の受講は長いと思っていましたが、終わってみればあっという間でした。

リーダーカレッジ受講当時、東宮先生は憧れの存在でした。話し方、伝え方、接し方、そして笑顔!今もあの時の先生が基準になっています。女性活躍が推進されるなかで、私も先生を見習い女性ならではの感性を高めていきたいと思っています。柔軟な発想を活かせる目線を広くもてることが目標です。

1カ月ごとにクラスの皆さんと会うのですが、回を追うごとに交流も深まっていった実感があります。講義の内容も徐々に濃くなりつつ、毎回の宿題をこなし、毎日のルーティンを実践して慣れてきた頃、次のリーダーカレッジ時期になります。2カ月、3カ月と間が長かったら記憶が薄れてしまうので、1ヶ月スパンというのは気合が入るタイミングだと思いました。

同じクラスには、保育園の女性園長さんが多く参加されており、当社の得意先で働く方もおりました。全体的に若手のリーダーが多く、回を重ねるごとに仲良くなりました。会話も増え賑やかだったことを覚えています。ある回は、東宮先生に女性だけで班を組ませてもらえるようお願いし、課題に取り組んだことがありました。その時は男性チームの勢いには負けないと盛り上がりました(笑)リーダーカレッジでは、受講者の考えも柔軟にとりいれてくれました。

後に振り返って気づいたことは、東宮先生はいつも自然な会話の流れで「良かった点」と「その先のアドバイス」をフィードバックしてくれていました。このフィードバックで達成感を感じ、次もまた頑張ろう!という気持ちになりました。取り組んだことに対して言葉を返す習慣が、マネジメントにおいて大切な習慣であることを先生から学びました。

皆さんとはリーダーカレッジ終了後も、食事会をして近況報告をしたりしていました。今でもSNSで繋がっており、皆さん同職種でさらに活躍していることが心強く励みになっています。来年でリーダーカレッジも10周年になると思うので、JAICさんで集まる企画を計画していただけると嬉しいです。

リーダーカレッジで学んだことを、自社で応用

これから受講する方に学んでほしいことは?

岸本様:

リーダーとしての自覚を身に付けることはもちろんですが、一歩前に出て引っ張っていくという「自信」を培ってほしいと思います。他社との共同作業などを通じて、人との関わり方が変わり、世界が広がります。また他社と接することで、社会全体における自分自身の状況を客観的に捉え、学びを深める場にしてほしいです。

当社では今年度より、管理職の「課長職」の下に「課長代理」のポジションを設けました。このポジションを活用し、年齢・性別に関係なくチャレンジする人材を育成するため、管理職へのステップアップ研修としてリーダーカレッジを実施しています。ここで自信をつけ、社内で実践し土台をつくり、1~2年を目途に管理職となるためのステップを設けています。

これまで会社での評価が高く期待されていても、本人が自信を持てなければ、その能力を最大限に発揮することはできません。「会社が期待した能力が発揮できなかったね」という状況を絶対に作ってはならないと強く思っています。本人が自覚と自信を持ち、会社がしっかり評価して人選する。そんな正しい組織開発のために、リーダーカレッジを最大限に活用していきます。

受講した内容をいかに社内へ伝えていますか?

岸本様:

「7つの習慣®」について、社内ではリーダーカレッジの受講者は熟知している一方、社内では理解に差があることを認識し、その状況を改善すべく私を含めた3名の管理職で、まずは若手社員育成のプロジェクトを立ち上げ、リーダーカレッジでの学びを基に独自の教育プログラムを作成しました。

今度は教える側として、リーダーカレッジでの内容からヒントを得て、3人で打ち合わせを重ね、独自のテキストを作成しました。企画を考えることは楽しかったです。

1カ月に1回、30歳以下の若手社員が本社に集合し、チームに分かれて課題に取り組んでもらいました。教えることの難しさを痛感し、改めて東宮先生の偉大さを感じました。試行錯誤しながら自分たちで企画を作り実践することでリーダーシップの重要性を再認識し、多くの学びを得ることができました。

普段は離れた拠点で顔を合わせる機会も少なく、同じ会社にいてもどんな業務をしているのかを知ることから交流が始まりましたが、若手社員たちは活気がありすぐに打ち解けました。同年代の意見交換は私たちの想像以上に広範囲で驚くことばかりでした!

現実にできるかどうかは別としても堂々と意見を言い、アイデアが出たところからどんどん枝葉が伸びていくのを感じました。年齢や性別に関係なく、潤いと栄養を与えることがリーダーの大切な役割だと気づきました。

残念ながらコロナ禍により、対面での活動が制限されましたが、最終プレゼンでは「5年、10年後の十条ケミカル」というテーマで会社に向けて発表を行いました。若手社員同士の交流を深め、自信を持って意見を発信する場となり非常に有意義でした。

招待した社長と上司からは、会社の未来への発表において多くの称賛のコメントをいただき自分たちの取り組みが評価されたことは、若手社員にとって大きな励みとなり、これからの業務に対する意欲が一層強まったと思います。

将来、この若手社員たちが会社を支える中心世代となった時、今回のプロジェクトを通じて築き上げた絆が実を結ぶことを期待しています。また、今回のプロジェクトが次世代への教育プログラムとして継承されることを願っています。

昨年、若手教育プログラムを受講した社員がリーダーカレッジを受講しました。当時は緊張してうまく人前で話せず努力している姿をみておりましたが、成果発表会では代表に選ばれ、自信に満ちた姿で発表しました。リーダーカレッジでの経験が成長に繋がり、その成果を感じることができ大変嬉しく思いました。

1年間の若手教育プログラムを終了した後、年に一度の社内パーティーで「7つの習慣®」講座を開催し、全社的に展開しています。組織全体で「7つの習慣®」に取り組み、共通の目標に向かって成長を目指しています。

今後の目指す組織の在り方についてお聞かせください

岸本様:

最初にお話しした通り、伝える力や伝わることの大切さを管理職としてさらに深めていきたいと考えています。リーダーカレッジでのグループディスカッションを通じて、「伝わらなければ、伝えていないのと同じ」という意識で取り組みましたが、相手に伝えることの難しさを痛感しました。そこで学んだのは、相手の立場に立って考えること、簡潔に伝えること、そしてフィードバックを受け入れることの重要性です。

社内でのミーティングや面談では、メンバーの話を真摯に聞き、理解しようと努めています。特に、相手が何を求めているのか、どのように感じているのかを確認し、共感することを大切にしています。また、フィードバックをもらうことで、お互いの意思が疎通できているかを確認でき自分の伝え方を改善し続けることも心がけています。

「我慢すればいい」「与えられたことをやるだけ」といった保守的な考え方では、組織は成長しません。気づいたことをしっかり伝えることが、組織の発展に繋がると信じています。そのためには、日々のコミュニケーションが不可欠です。お互いに伝えやすい環境を整えることが今後も重要です。この取り組みを続けることで、さらなる成長を目指していきます。

リーダーカレッジでの学びを実践することで、職場の雰囲気は一層良くなり、チームの結束力も強まりました。何よりも、リーダーカレッジでの経験は私にとって貴重な財産となりました。この経験を活かし、これからも組織全体が一つのチームとして成長していくよう、全力を尽くしたいと思います。